シットコインって何だろう?
ビットコイン好きの人が、たまに言っている言葉だけど…
ビットコインの知識が深い人の中には、他の仮想通貨を「シットコイン」と言って批判する人がいます。
また、仮想通貨に詳しくない人の中には、シットコインもビットコインも全部まとめて「仮想通貨はみんな怪しい」という間違った認識を持つ人もいます。
シットコインと同様のものと思われることに、心を痛めているビットコイン好きの人もいるようです。
この記事では、シットコインとビットコインの違いや、シットコインの注意点を解説するよ。
シットコインとは
シットコインとは、価値が低く、使い道のない仮想通貨のことです。
※Shit…英語で「クソ」という意味を持つスラング(俗語)
シットコインの中には運営元やコミュニティが購入を煽るものも多く、「ビットコインよりも○○コインの方が将来性がある!儲かる!」などのうたい文句で購入を誘うこともあります。
ビットコインについて調べていたら、「この○○コインの方が性能が高い!」って書いてあるメディア記事がたくさんあったよ。
他の仮想通貨の方が良いのかなって思ったんだけど…
シットコインは言葉巧みに宣伝をして、初心者に売りつけようとしてくるんだ。
メディアやSNSの発信は、シットコインの問題点を掘り下げず、シットコインの運営元が出している情報だけを書いていることがあるから要注意だよ。
シットコインとビットコインの違い
シットコインって、ビットコインとどう違うのかな。
どっちも仮想通貨だし、そんなに変わらない気もするけど…
シットコインは「ビットコインと同じ仮想通貨」ではあるけど、ビットコインとは性質がまるで異なるよ。
分散していない
ビットコインのシットコインの違いとして、シットコインは分散していないという点が挙げられます。
分散性とは中央集権性の反対で、複数のコンピューターにデータを分散させて機能を成立させる仕組みです。
ビットコインには運営元が存在せず、1万以上のノード(コンピューター)が世界中に分散して成り立っています。
一方、シットコインには運営元が存在し、分散性をうたいつつも実際は分散していないケースが大半です。
「仮想通貨は分散している」っていう説明をよく聞くけど、実際は分散していない仮想通貨が多いってこと?
そうだよ。
「ビットコインは分散している」
→「ビットコインは仮想通貨」
→「仮想通貨は分散している」という誤った認識がされていて、すごく問題だと思うな。
ビットコインには運営元がいないけど、大半のシットコインには運営元がいるんだね…。
DAOっていう、みんなで運営するシステムだから、分散されているって話も見たけど。
DAO(分散型自律組織)は結局、運営元や初期の大口投資家に権力が集中する仕組みなんだ。
「将来的なDAOを目指している」と言いながら、運営元や中心人物が積極的にマーケティングをしていることもあるよ。
関連記事:ビットコインとアルトコインの違いは?有識者にインタビュー【どっちが人気?】
発行元が利益を得るためのコイン
分散性をうたいつつ、結局は「運営元が利益を得るために発行された」シットコインが大半です。
2017年頃に活発に行われ、後に問題となって規制されたICO(仮想通貨を使った資金調達)では、プロジェクトの中身とそぐわない大規模な資金調達に成功した運営元が数多くありました。
また、運営元や、運営元が支配するDAOに初期トークンが多く割り当てられているケースも多く、市場の価格変動を利用して運営元が利益を得ることも可能です。
ICOで資金調達を行っているプロジェクト(例)
- イーサリアム(当時レート:約16億円)
- カルダノ/エイダコイン(当時レート:約69億円)
- EOS(当時レート:約80億円)
なんだか、企業が株式上場するって感じだね。
株式上場には厳しい規制や審査があるのに、仮想通貨は緩い規制で資金調達できちゃうなら、詐欺目的のシットコインが増えるのも分かる気がするな。
「日本人を中心に40億円の資金調達をしつつ、今では公式が消えたプロジェクト」というのもあるよ。
期待を煽って資金を集めた上で、ろくに開発を進めなかったり、「ハッキングされた」とか言ってフェードアウトする運営元がすごく多いんだ。
簡単に作れる
memecoin deploy% speedrun 27s ⏱️ pic.twitter.com/OYaXGb5ITR
— whitelights.eth ⌖ (🦇🔊) (@iamwhitelights) May 5, 2023
難しそうなイメージを持たれがちな仮想通貨ですが、インターネット環境があれば、仮想通貨自体は簡単に作れてしまいます。
上記のTwitter投稿では、たった27秒で新しい仮想通貨の発行が完了しています。
イーサリアムの仕組みを使えば誰でも仮想通貨を作成でき、新たなシットコインが日々発行されているのが現状です。
特に「ミームコイン」と呼ばれるネタコインは投機的な売買が行われており、価格操作によって投資家からの資金を集めた上で、プロジェクトが消える事例が多発しています。
新しい仮想通貨を作るのって、多額の費用とか、労力とか、そういうのは必要ないんだね…。
「○○コインが爆上げ!次はこのコイン!」とか、そんなうたい文句で投資家のお金を奪おうとしているんだ。
発行に大変な計算処理が必要なビットコインと、シットコインは全然別物だよ。
関連記事:【漫画】ビットコインの仕組みを図解で分かりやすく解説【初心者向け】
シットコインの見分け方
シットコインの問題点について、他にも知っておきたいな。
シットコインは誇大広告がとにかくひどいんだ。
マーケティングに騙されて、おかしなシットコインを買わないようにね。
参考:技術的な話一切抜きで、スキャムICOかどうか判断する方法
「ビットコインよりも高性能」とアピールする
「ビットコインよりも送金スピードが速い!」「ビットコインの弱点を改良したコイン!」など、ビットコインが古い技術というような宣伝を行っているシットコインがあります。
しかし、送金速度や機能性を重視する場合、分散性が犠牲になり、中央集権性の強いコインとなってしまいます。
見せかけの性能で注目を集めようとするシットコインには注意が必要です。
いろいろなメディアで、「ビットコインよりも速い!」っていう仮想通貨の紹介を見るから、「ビットコインは時代遅れのコインなのかな?」って誤解する人もいると思うな。
公式サイトや仮想通貨メディア、SNSの発信を全て鵜呑みにするのは避けた方がいいよ。
ちなみに、ビットコインの送金時間は10分以上と言われているけど、「ライトニングネットワーク」などの技術を使えば数秒でビットコイン決済や送金ができるし、実際に使われているんだ。
ビットコインのネガティブキャンペーンをしつつ、自社発行のシットコインを買わせるような運営元には気を付けないといけないね。
「ビットコインよりも儲かる」とアピールする
「ビットコインは1枚で数百万円になってしまったから、今から買うなら○○コインの方が儲かる」というような宣伝には要注意です。
シットコインは短期的に急騰することはありますが、価格の変動が激しく、大暴落することもしばしばあります。
一時的な上昇率だけを切り取って「○○%上昇!」といったアピールをする仮想通貨系インフルエンサーがいるものの、実際には長い期間下落が続いており、損をしている人が多くいます。
数年単位の長期目線で見ると、ビットコインよりも良い投資結果を出しているコインはほとんどないんだ。
「ビットコインを買うのはもう遅い!」って言われると、何だか信じちゃいそうな気もするし、注意しないといけないね…。
関連記事:ビットコイン以外の仮想通貨の方がおすすめなのか?安い銘柄のお値打ち感に要注意
大企業や有名人との提携をアピールする
シットコインの中には、「大企業と提携した!」「有名人とコラボ!」といったアピールばかりを行うものが多くあります。
目新しい開発が進んでいないのにも関わらず、大企業や有名人の知名度に乗っかり「安心なコイン」をうたうシットコインがあふれています。
インフルエンサーや著名人を使った宣伝に力を入れている場合は、逆に疑ってかかる気持ちを持つのがおすすめです。
「何を目指しているのか」「開発は順調に進んでいるのか」「何に使われているのか」など、面倒くさがらずに自分で調べましょう。
TwitterとかYoutubeとか、みんながおすすめしているコインなら大丈夫かなって思っちゃいそうだなぁ。
有名人や大企業の名前があったら、つい信じちゃうかも…。
公式サイトではあえて専門用語を使い、初心者に分かりにくくしているプロジェクトもあるから気を付けよう。
中身のないプロジェクトが、マーケティングだけで資金を集めているケースもあるんだね…。
よく分からないコインを分からないままに買うのはとても危なそうだよ。
IEOで資金を集めるシットコインに注意
「このIEOは熱い!」「絶対参加する!」とか、そんな話をよく見るんだけど、そもそもIEOがよく分からなくて…。
IEOは仮想通貨を使った資金調達方法で、取引所を介して行われるのが特徴だよ。
以前行われたICOに規制が入って、最近ではIEOが増えているんだけど、国内のIEOには注意点もあるんだ。
参考:日本のIEOのデータを集めてみたら、予想通り結構ひどい状況だった
国内IEOの例:長期にわたる価格下落
国内取引所で行われたIEOの多くは、上場直後に高値を付けた後、長期間の下落を迎えています。
上場前後は運営元やIEO参加者がプロジェクトを盛り上げ、一時的にIEO販売価格よりも上昇するものの、トレード目的の参加者は短期間でトークンを売却するため価格が崩れやすくなります。
一方、運営元は資金調達の後、プロジェクトを成功させる法的な義務を負っているわけではありません。
仮想通貨業界では自社トークンを上場することに重点を置き、その後の開発や運営が不十分というプロジェクトが見られるため、IEOに参加する際は注意が必要です。
直近行われた「フィナンシェトークン」のIEOでは、上場直後に急騰したけど、暴落してIEO価格を割り込んでしまったんだ。
SNSの声だと「爆上げが取れた!」っていう声をたくさん見たけど、実際には多くの人が損失を出しているんだね。
IEOは最初の爆上げばかりが宣伝されていて、その後の暴落やプロジェクトの進展には全然スポットが当たらないのがちょっと気になるなぁ…。
国内IEOの例:スプレッドが広くなることがある
2023年に行われた国内IEOの中でも、NIDT(ニッポン・アイドル・トークン)は違った意味で問題が起きています。
NIDTはIEOから数か月後に急激な暴騰を見せたものの、DMMビットコインの販売所スプレッドが異様に広く設定されており、売却できないという声が上がりました。
DMMビットコイン・coinbookの2社でしか取り扱いがなく、取引されている量が非常に少ないため、価格が非常に不安定な状態です。
50%のスプレッドというのは、「10万円分を買ってすぐに売ったら5万円になってしまう」状態だよ。
数か月にわたって、NIDTは広いスプレッドが続いているんだ。
こんな事態が起きているのは問題だと思うし、国内IEOの仕組みが改善されるといいなぁ…。
IEOに興味を持ったとしても、取引所やコイン発行元の発信を全部そのまま信じるんじゃなくて、自分できちんと調べないといけないね。
関連記事:ビットコインのスプレッド比較表!販売所は広すぎるので要注意
【まとめ】シットコインの儲け話に要注意
シットコイン・ポイントまとめ
- シットコインは分散性をうたっているが、実際には運営元がいて分散していない
- 資金調達だけが目的で、運営元が消えたり開発が進まなかったりするプロジェクトが多い
- 「ビットコインよりも儲かる」などの宣伝で購入を誘っている
仮想通貨の初心者だと、メディアや運営元の発信を見て、シットコインをおすすめするような情報に騙されてしまうかもしれないね…。
運営元・コミュニティの儲けを目的に、偏った情報をたくさん発信しているプロジェクトもあるんだ。
「今からでも儲かる!」とか、そんな甘い言葉に釣られないようにしよう。
よく分からないシットコインに手を出す前に、まずはビットコインのことをちゃんと知っておくのも大事かもって思ったよ。
ビットコインについて、もっと知っとこ!
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執筆者:Shigeru Minami
「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。
ビットコイングッズのハンドメイド作家として活動中。