最近「ビットコインのレイヤー2」っていうブロックチェーンとか、仮想通貨の銘柄をたくさん見かけるんだけど…
仮想通貨の世界ではバズワードに乗っかろうとするプロジェクトが非常に多く、過去にはDAO・DeFi・NFTなどとの関連性をうたったトークンが大量に登場しました。
そして最近ではビットコインとの関連性を打ち出すプロジェクトが増えており、「ビットコインのレイヤー2」が乱立する事態となっています。
この記事では、ビットコインのレイヤー2が増えている理由や、現状広がっているビットコインL2の懸念事項を紹介するよ。
本記事のざっくりまとめ
- ビットコインのレイヤー2を名乗り、トークンの購入を誘うプロジェクトが増えている
- レイヤー2は元々トラストレスな形でレイヤー1の機能を強化する技術を指していたが、最近では定義が歪められており、ビットコインとは別のチェーンで独自トークンを発行する中央集権的なプロジェクトもビットコインL2をうたっている
ビットコインのレイヤー2とは?
ビットコインのレイヤー2(L2/セカンドレイヤー)は、ビットコインの基本的なブロックチェーン(レイヤー1)の上に構築される技術やプロトコルを指しています。
プロトコル…コンピュータでデータをやりとりするために定められた手順や規約
レイヤー2はビットコインのスケーラビリティと効率を向上させることを主な目的としており、取引の処理速度アップ・手数料の減少によってビットコインネットワークがより使いやすくなるように設計されています。
スケーラビリティ…拡張性。ネットワークが規模・利用負荷の増大に適応できる度合いを指す
そもそもレイヤー2(セカンドレイヤー)という言葉は、ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するための概念として使われていたんだ。
その後、イーサリアムなどの他のブロックチェーンでもレイヤー2という言葉が使われるようになって、最近では投機的な目的でレイヤー2プロジェクトへの視線が向けられているんだよね。
確かに、「このレイヤー2銘柄に注目!」とかって宣伝しているSNSアカウントを見たことがあるよ。
なぜビットコインのレイヤー2が増えているのか
「ビットコインのレイヤー2」を掲げるプロジェクトが増えているのは、ビットコインとの関連性をうたって独自トークンの購入を促そうとする動きの加速化だと考えられます。
「ビットコインLayer2」とかいうバズワード化させることで、トラストレスではなく本来Layer2と呼べる代物ではないプロジェクトを、なぜかビットコインと関係のあるように見せる手法が流行り始めている。
メディアもそれを拡散するだろうけど、本来荒唐無稽な表現なんだよな
ちなみになぜそんなことをするかというと、価格が強く動いていて、ユーザー数も多いビットコインをネタに、ビットコインホルダーなどに対して訴求できるパチンコを作りたいから。それだけ。技術的なメリットや新規性なども特にないし、重視してない。
出典:https://twitter.com/Coin_and_Peace/status/1773949466875445671
うーん、最近になってビットコインとの関係性を打ち出すプロジェクトが増えているのはどうしてだろう?
マネーゲームをしたい大口投資家にとって、価格の強さは重要事項だよね。
仮想通貨の中でもビットコインは非常に上昇率が高い上に、2024年1月にはビットコインETFも承認されていて、すでに別格の存在になっているんだよ。
BTC建てで見るイーサリアム(ETH)の価格
- 2017年6月:1ETH=0.11BTC(ETH/BTCの最高値)
- 2024年4月:1ETH=0.04BTC
イーサリアムの価格はビットコインに対して相対的に下落している
BTC建てで見ると、大半のアルトコインは過去の最高値から下落している
Top 20 Cryptos - Distance from ATH Against BTC
— リバタリマン (@libertariman) April 14, 2024
BTC建ての最高値からの下落率
軒並み80%近く下落
ETHも70%の下落
ビットコイン = 人類史上最も重要な発明の一つ
Shitcoin = 数クリックでチームが生成・情弱に売り浴びせ(ETH含む)
Buy bitcoin pic.twitter.com/IvYryvP9mE
一時的にビットコインよりも強く上昇したアルトコインがあったとしても、数年後にはビットコインに対して価格を下げているケースが多いんだ。
関連記事:ビットコイン以外の仮想通貨の方がおすすめなのか?安い銘柄のお値打ち感に要注意
レイヤー2の定義が歪められている
でも、ビットコインって誰でも自由に参加・開発できるネットワークなんだし、ビットコインのレイヤー2が増えるのは自然な気もするけど。
問題なのは、レイヤー2の定義が歪められていることなんだ。
以前の定義だとレイヤー2とは呼べなかったものが、最近ではどんどんレイヤー2を名乗るようになっているんだよ。
レイヤー2は元々、トラストレスな形でレイヤー1の機能を強化したり、スケーラビリティを改善したりする技術のことを指していました。
トラストレス…中央管理者などの第三者が不要であり、相手を信頼しなくても取引が機能するシステムを指す
レイヤー2の例:ライトニングネットワーク
- ビットコインの分散型の精神が受け継がれており、ユーザーによって運営される多数のノードによってネットワークが支えられている
(2024年4月時点で12,000以上のノードが存在) - 運営元が存在せず、多くの独立した開発者や企業がネットワークのソフトウェアの開発や運用に関与している
- ネットワークはオープンソースで誰でも参加可能&改善に寄与できる
- 独自トークンは存在せず、BTCの最小単位であるSatoshi(SATS)が使われる
- 少額のBTCを秒単位の速度・1円以下~数円単位の手数料で送れるネットワークで、世界での利用が進んでいる
セカンドレイヤーという単語は、元々はライトニングネットワークなどを想定して使われていた言葉です。
トラストレスな状態を維持したまま拡大するのは難しいものの、多くの開発者による新しい提案などによって、数年かけて着実に発展しています。
一方で、最近ビットコインのレイヤー2と呼ばれるものは全く違う性質を持っており、定義が歪められているのが現状です。
最近のビットコインのレイヤー2の例
- カストディアル型のブリッジ
→中央集権的な運営元がビットコインを預かり、ビットコインネットワークとは別のブロックチェーンで発行したトークンを付与する。トークンはトレード益を狙ったりDeFi運用をしたりするのに使われる - WBTCもビットコインレイヤー2に含まれる可能性
→ブリッジを使ってBTCをWBTCに変換する。元のBTCは運営元のBitGoによって保管されており、運営元へのトラストが必要
ビットコインと関係があるように見せているが、別のチェーンでトークンを発行しているだけなので、ビットコインネットワークのスケーラビリティ向上には関係がない
元々レイヤー2という言葉はビットコインのスケーラビリティ向上を目指す技術を指していたけど、
最近のレイヤー2はビットコインを別のチェーンで使う方法を提供しているって意味合いで使われている感じだね。
うーん、どうしてレイヤー2の定義が変わってきちゃったんだろう?
ビットコインをネタにして、マネーゲームを行おうとする動きが増えているからだよ。
レイヤー2をバズワード化して、「自分たちが発行するトークンはビットコインと関係があるから資金を入れてね」といった運営元の考えが透けて見えるよね。
マーケティングのために、ビットコインのレイヤー2を名乗るプロジェクトが増えているんだね!
メディアとかインフルエンサーが、ビットコインのレイヤー2に関するプロジェクトを宣伝しているのはよく見るよ。
「ビットコインと○○(特定のプロジェクトや銘柄)」という形で発信しているインフルエンサーが増えているよね。
2017年頃には「ビットコインと○○」的な発信者が大量発生して、ビットコイン情報とセットで詐欺コイン情報を拡散したり、詐欺コインを批判するビットコイナーを炎上させたりする動きが起きたんだけど…
こういう人たちは、宣伝のためにビットコインをさんざん利用した後、トレンドが終わったら皆いなくなるんだよ。
多くのユーザーに損失を出させた上に、「ビットコインで損をした!ビットコインは詐欺だ!」みたいな、ビットコインへの悪印象につながる行為が行われていたんだね…。
関連記事:ビットコイン投資のリスクと失敗例!ビットコイン関連のスキャムに要注意
SNSやメディアが煽るレイヤー2に注意
何らかのプロジェクトの爆上げが話題になると、似たようなプロジェクトが続々と登場して宣伝を行うことが多々あります。
「話題のトークンに乗れず、次の爆上げトークンを探す人」をターゲットにした詐欺的なプロジェクトが非常に多く、あの手この手でユーザーの資金を奪おうとしているのです。
最近では「ビットコインのレイヤー2」「エアドロップ」「ミームコイン」「Ordinals NFT」などのワードが拡散される傾向にあるので、たとえビットコインの名前が入っていたとしても警戒を怠らないようにしましょう。
SNSの爆益報告を見ると、「自分も波に乗りたい!」と思っちゃって、何となく良さそうだと思ったトークンに飛びつきたくなるんだよね…。
「このエアドロが熱い!」って宣伝しているWeb3インフルエンサーをよく見るし、気になるなって思っちゃうけど…。
Web3インフルエンサーが特定のエアドロップやプロジェクトを宣伝するのは、運営元から直接報酬を受け取っていたり、エアドロ誘導のリンクを通じてアフィリエイト報酬を得たりしているケースが大半なんだ。
インフルエンサーが拡散しているからって安全だとは全く言えないよ。
でも、「儲かるならどっちでもいいし、注意喚起をする人がいるのは迷惑」って考える人もいるかもしれないよ。
仮想通貨でマネーゲームをしたい人は、トークンを買い煽りして価格をつり上げたいだろうし…。
ダメなものはダメだって言う人の存在だって大事だと思うよ。
口うるさく注意する人がいることで、「危ないって話も聞いたことがあるし、やめておこうかな」って考えを持つ人だっていると思うんだ。
ビットコインの価格が上がっていて、これから新しくビットコイン投資を始める人も増えるだろうし…
ビットコインに関する正しい情報が、少しでも多くの初心者に届くといいね。
関連記事:Ordinalsとは?賛否あるビットコインNFTの特徴を解説
ビットコインのレイヤー2を懸念する声
ビットコイン好きな人の中には、ビットコインのレイヤー2の現状について危惧している人もいるんだね。
Twitterにて、「#ビットコインL2に注意」タグにて意見を募集しているよ。
仮想通貨メディアやSNSでググった情報だけだと、「ビットコインのレイヤー2って何かすごそう!」って初心者の人が誤解してしまうかもしれない状況にあるんだ。
注意喚起に協力してくれる人がいたらぜひお願いしたいな。
ビットコインは誰もが使えるネットワークというのは分かります
— Shigeru Minami (@kiterugumatic) April 23, 2024
L2トークンによるマネーゲームに使われるのも分かります
でもバズワードで資金を集めようとするプロジェクトが蔓延・ラグプルして
「ビットコインに関する詐欺にあった」という声だけが残る未来は嫌ですね#ビットコインL2に注意
#ビットコインL2に注意
— ぽう (@btceth37) April 24, 2024
トークンがあったら危険です https://t.co/StPhqrUIUP
【まとめ】「ビットコインのレイヤー2」というバズワードに踊らされるな!
ビットコインL2・ポイントまとめ
- ビットコインのレイヤー2を名乗り、トークンの購入を誘うプロジェクトが増えている
- レイヤー2は元々トラストレスな形でレイヤー1の機能を強化する技術を指していたが、最近では定義が歪められており、ビットコインとは別のチェーンで独自トークンを発行する中央集権的なプロジェクトもビットコインL2をうたっている
価格が上昇していて注目されているビットコインに乗っかって、真新しい技術でもないのに「ビットコインのレイヤー2!」って言って宣伝するプロジェクトが多いんだね…。
運営元や運営に近い人が儲けるために独自トークンを発行しているプロジェクトばかりなんだ。
エアドロップやインフルエンサーマーケティングに踊らされないように注意が必要だよ。
ビットコインって何だか難しそうだし、よく分からないから何となく不安だったけど、他にも色々知りたいなって思ったよ。
ビットコインについて、もっと知っとこ!
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執筆者:Shigeru Minami
「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。
ビットコイングッズのハンドメイド作家として活動中。