ビットコインって何となく怪しいし、詐欺っていう話も聞くよ。
ビットコインは世界各国で法的に認められており、ユニセフでビットコイン寄付が受け入れられるなど用途が拡大しています。
しかし一方で、ビットコインを詐欺に悪用する人や組織も存在するため、ビットコイン自体が詐欺だと認識している人もいるようです。
この記事では、ビットコインを悪用した詐欺事件や手口、ビットコインが詐欺だと誤解される原因を紹介するよ。
ビットコインの詐欺事件
ビットコインの詐欺事件って、どんな事件が起きているんだろう?
これまでにも起きていた詐欺の手口を使って、現金ではなくビットコインを要求する事件が起きているよ。
ビットコインを要求する詐欺メールが届いた
パソコンやスマホをハッキングしたかのように装い、「アダルトサイトにアクセスした時の動画を公開する」などと脅してビットコインを要求する詐欺メールの事例が増えています。
不特定多数にメールを配信し、振り込め詐欺のように不安を煽って資産を奪おうとしているようです。
こういう詐欺メールは昔からあると思うけど、ビットコインを要求する犯人もいるんだね。
メール内に記載されたビットコインのウォレットアドレスに、ビットコインを送るように要求するみたいだね。
詐欺メールが来ても慌てずに無視しよう。
ビットコインのマイニング投資に誘うマルチ商法
ビットコインのマイニング設備への投資をうたい、総額800億円近くをだまし取った「BitClub Network」の関係者が2019年に逮捕されています。
※マイニング…ビットコインの取引承認に必要な計算を行い、報酬にビットコインを得る仕組み
販売組織への勧誘を促すマルチ商法によって、ピラミッド式に投資家を集めて世界中で被害者を出しました。
出典:仮想通貨のマイニングに誘うマルチ商法、詐欺被害を拡大させた5人の手口
ビットコイン以外に、別の仮想通貨のマイニング投資詐欺も相次いで起きているよ。
「最新テクノロジー!」「投資したら儲かる!」とか、うまい話には気を付けないといけないね。
関連記事:ビットコインのマイニングとは?現在の報酬や終了時期・やり方や仕組みを紹介
SNSのお金配り詐欺
TwitterなどのSNS上では、「ビットコインをプレゼントする」といった主旨の投稿が大量に投稿されています。
これらの投稿に反応してしまうと、詐欺のターゲットとしてリストに入れられてしまいます。
また、詐欺の受け子として利用される事例も起きているため、この手の投稿に飛びつくのはやめましょう。
見るからに怪しいお金配り詐欺だけど、ビットコインが入れられていると何だかビットコインも怪しく見えてくるね。
ビットコインを悪用している人が悪いのに、まるでビットコインそのものが詐欺だと思ってしまう人もいるみたいで、やるせない気持ちだよ。
ビットコイン詐欺・女性詐欺師の手口
「ビットコイン詐欺で女性にだまされた」っていう話も聞くけど…
女性詐欺師による、ビットコインを悪用した詐欺の手口を紹介するよ。
マッチングアプリで知り合った外国人女性に投資を勧められた
マッチングアプリで知り合った女性に投資を勧められ、1億4700万円分の仮想通貨をだまし取られた事件が発生しています。
実際する取引所に似せた偽サイトを用いて、仮想通貨を送金させる手口を用いています。
- 自称台湾人の外国人女性から投資を勧められてビットコインを指定されたサイトに送金
- サイト上で利益が出ていたため換金しようとすると、サイトの担当者を名乗る人物から「出金額の45%の税金を送金しなければ出金できない」と言われ、計約1億4700万円分の仮想通貨を複数回にわたり送金
出典:1億4700万円の投資詐欺被害 送金したのは偽の暗号資産取引所
マッチングアプリでターゲットを探して偽サイトに誘導するなんて、本当にひどい手口だね。
SNSで出会った異性から投資を持ちかけられたら詐欺!で良さそうだよ。
無名の取引所に入金を促してくるのも詐欺の手口の1つだよ。
調べても情報が出てこないような取引所は絶対に使わないようにしよう。
特殊詐欺の収益としてビットコインを受け取った女性が逮捕
特殊詐欺の犯罪収益と知りながらビットコインを受け取ったとして、23歳の女性が逮捕されています。
容疑者は自分の管理するビットコインアドレスに、約50万円相当のビットコインを送信させた模様です。
令和3年に70代男性がキャッシュカードを盗まれて511万を引き出された特殊詐欺について、そのうちの50万円相当が容疑者にわたったと見られています。
出典:特殊詐欺収益の暗号資産受け取り、容疑で23歳無職女を逮捕 愛知
特殊詐欺は犯人が親族や警察を装い、キャッシュカードをだまし取ったり、示談金を脅し取ったりする手口だよ。
詐欺で手に入れたお金の送金方法として、ビットコインが使われていたんだね。
関連記事:ビットコイン事件簿まとめ!死亡者が出た日本の事例を紹介
【重要】ビットコイン自体は詐欺ではない
ビットコインが詐欺に使われているのは事実みたいだけど、ビットコインって悪いものなのかな。
ビットコイン自体は詐欺ではないよ。
犯罪に悪用されていて、「ビットコインは悪いもの」と誤解されることもあるけど、ビットコインという通貨や仕組み自体が詐欺というのは間違った認識なんだ。
日本ではまだあまり馴染みのないビットコインですが、日本を含む多くの国で合法的なデジタル資産として認められており、国際送金や投資などの金融活動に実際に利用されています。
また、アメリカやカナダではビットコインの先物ETFが承認されており、規制当局からの厳しい審査を受けた上で証券取引所で取引されています。
改ざんが極めて難しい技術や、世界中の何千ものコンピューターが分散して管理するシステムなど、ビットコインはこれまでの通貨にはない性質を持つのが特徴です。
世界中の企業がビットコイン関連事業に取り組んでいる他、エルサルバドルやスイスのルガーノ市はビットコインを法定通貨として採用しています。
日本でも楽天・LINE・メルカリとか、有名な企業がビットコイン関連の事業を行っているんだね。
Twitterやテスラのイーロンマスクも、ビットコインのマイニング事業をやっているみたいだし、ビットコインの拡大に期待している企業は多いのかもしれないよ。
ちなみに、アメリカの連邦政府機関「米証券取引委員会(SEC)」は、仮想通貨取引所のCoinbeseにビットコイン以外のすべてのコインの取引停止を要請するなど、他の仮想通貨に厳しい姿勢をとっているんだ。
ビットコインは運営元がなく、世界中のコンピューターに分散されて機能しているから、ゴールドのようなコモディティ(商品)として認識されているよ。
一方、他の仮想通貨は運営元が実質的に存在するから、企業が発行する証券に近いという意見があるんだ。
そもそも、ビットコインが他の国でも共通に使われている通貨だってことを、知らない人が多いかもしれないよ…。
「ビットコインに価値がある」と考える人は世界にたくさんいるって、日本の多くの人に知られる日が来るといいね。
関連記事:ビットコインの危険性は?ビットコイン自体のリスク・やめたほうがいい投資方法を解説
関連記事:ビットコインETFが日本で買える日は来るのか?いつ承認されたか・承認時の価格チャートを紹介
ビットコイン自体が詐欺だと誤解される原因
ビットコイン自体が詐欺じゃないなら、どうして「ビットコインは詐欺だ」と考える人がいるんだろう?
日本的な考え方やメディアの報道姿勢が、ビットコインに対するマイナスイメージにつながっているかもしれないよ。
「何となく難しそうで怪しい」という考え方
日本では「よく分からないもの」や「何となく難しそう」なものを敬遠する人がおり、「怪しいと聞いたから何となく怪しい」と考える人が多いようにも感じます。
以下はビットコインに対する国別の意識調査の結果です。
世界的に見て、日本は「ビットコインを怪しい」と感じる人の割合が非常に多く、「ビットコインに楽観的」と答えた人が圧倒的に少ないことが分かります。
ビットコインを楽観的にとらえている人がダントツで低いんだ。
イメージがここまで悪いのはすごく残念だよ…。
「どちらでもない」が多いのも、何だか日本人っぽい感じだなぁ。
ビットコインの初期の頃は、多くのビットコインが日本の取引所で売買されていたって聞いたことがあるけど…今ではすっかりビットコイン後進国っていう感じがするね。
アメリカと比べて全然違う結果が出ているよ!
ここまで反対意見なのはすごいね…。
日本人の中には「投資は悪」と考える人もいるし、投資対象としてのイメージが強いビットコインは相性が悪いかもしれないね。
関連記事:【イラスト解説】ビットコインって何?仕組みや何に使えるのかを初心者向けにわかりやすく解説
メディアの否定的な報道
日本の主要メディアはビットコインを否定的に取り上げることが多く、過去には事実を誤認させるようなタイトル記事を出していることもあります。
※上記画像補足:ビットコインには運営元がおらず、社長は存在しない。上記はビットコインの取引サービスを提供する取引所の社長が逮捕されたニュース(取引所は海外にもあり、「ビットコインが買えるのはこの取引所だけ」というわけでもない)
また、「ビットコインバブルで大儲けした人が大損してどん底に落とされる」といった書き方も多く、ビットコインの持つ技術的な特徴よりも、「損をする危ない投資商品」という形をクローズアップして報道している側面もあります。
ちなみに、日本はマスコミに対する信頼度が非常に高い国なんだ。
他の先進国が新聞・雑誌に対してほぼ5割以下の信頼度しかないのに、日本だけは7割近い信頼度なのはすごいよね。
メディアを信じる人が多いってことは、間違ったニュースもそのまま信じられてしまうってことだよね…
日本人が投資に否定的
日本では投資に否定的な考えを持つ人が多く、投資全般に慎重な姿勢が見られます。
日米に拠点を持つ仮想通貨取引所のビットフライヤーの調査によると、日本では「投資をしていない」と回答したのが7割以下、アメリカでは「投資をしている」と回答したのが8割以上だった模様です。
現状のビットコインは投資目的での売買が中心であり、「投資して損をするかもしれない危ないもの」という認識が広がっているのかもしれません。
確かに、「働くことが尊くて、投資は楽して稼いでいる」みたいな風潮はあるかもしれないね。
「投資」という言葉だけで拒否反応を持つ人も多くいそうだよ。
昔は銀行にお金を預けていれば高い金利が受け取れていたけど、今やすっかり金利は下がっているんだ。
資産運用と向き合う必要があるけど、年齢層が高い人は「お金は銀行に預けておくもの」という認識が強いから、子どもや孫にも同じ考えが受け継がれていく可能性はあるよね。
関連記事:「ビットコインはやめたほうがいい」論に物申す!よくある批判を初心者向けにわかりやすく解説
マネロンに使われていると考えられている
ビットコインを含む仮想通貨はマネーロンダリングに使われることがあるものの、現金と比べると使用割合は限定的だとされています。
※マネーロンダリング…資金洗浄(犯罪で得たお金の出所を分からなくする)
ブロックチェーン分析企業のChainalysisによると、2021年には86億ドル相当の仮想通貨が資金洗浄に使われた模様です。
Chainalysisは麻薬密売などの犯罪で毎年2兆ドル規模の法定通貨がマネーロンダリングされていると指摘※しており、規模感を比べると「ビットコインはマネロンに使われているから詐欺」という主張はやや飛躍的と感じられます。
※仮想通貨に比べ、現金を使用したマネーロンダリングは数字を確定させること自体が難しい
金融犯罪が最も起きているのは銀行などの既存金融機関だよ。
例えば、デンマーク最大の銀行では2,300億ドル規模の資金洗浄が行われたことが明るみになったんだ。
マネロンって聞くと何だか難しそうで、「やっぱりビットコインって詐欺?」って思いそうになるけど、決めつけるのは良くないかもしれないね。
他の詐欺コインのイメージから印象が悪い
仮想通貨の中には詐欺目的で作られた「詐欺コイン」が非常に多く、実際に詐欺も多発しています。
「ビットコインよりも○○コインの方が高性能!投資すれば儲かる!」などのうたい文句で購入を誘い、多くの人々の資金を奪っています。
大半のアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)には運営元が存在し、運営元が発行した仮想通貨が値上がりすれば運営元が儲かる仕組みです。
ビットコイン以外の仮想通貨が詐欺に使われたと報じられることで、「仮想通貨は詐欺=ビットコインは詐欺」という印象を持つ人もいるのかもしれません。
詐欺コインの手口(例)
- 将来性をうたって詐欺コインを購入させ、資金を持ち逃げしたり、「ハッキングされた」という言い訳をしてフェードアウトしたりする
- 大企業との提携や、有名人とのコラボを過剰宣伝する
- SNSでの宣伝などを行って一時的に価格をつり上げ、価格操作後に運営元や初期投資家が大量に売り抜ける(価格が大暴落するため、宣伝に釣られた人が大損する)
詐欺コインの例として、例えば日本人を中心に40億円の資金調達をして、現在は音沙汰のないコインがあるよ。
そのコインを唯一買える取引所は停止されいて、資金が動かせない上に、公式元はTwitterアカウントを削除しているんだ。
詐欺事件が増えるほど、仮想通貨のイメージが悪くなるね…。
それに、いかにも怪しげな仮想通貨とか、NFTとかの過剰な宣伝を見たことがあるよ。
「確実に儲かる!」「今すぐ買えば間に合う!」とか、そんな発信を見てると確かに仮想通貨は全部詐欺って思っちゃうかも。
関連記事:シットコインとは?ビットコインとの違いや問題点を解説
関連記事:ビットコイン以外の仮想通貨の方がおすすめなのか?安い銘柄のお値打ち感に要注意
ビットコインの詐欺に関する一問一答
ビットコイン詐欺について、もう少し確かめたいことがあるよ。
一問一答形式で、ビットコインと詐欺について答えるよ。
ビットコイン詐欺に遭った有名人は?
お笑い芸人「とろサーモン」の久保田かずのぶ氏は、2017年にビットコイン詐欺被害に遭っています。
知人から高級感のあるコインを「ビットコインの実物」と紹介され、儲かると言われて10万円分のコインを購入した模様です。
また、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏は、2014年に起きたマウントゴックス事件(ビットコイン大量流出事件)に巻き込まれています。
マウントゴックス事件は当時レートで470億円相当の被害が出た事件だよ。
少しずつ債権回収の見通しが立ってきているものの、ユーザーにビットコインが返還されるにはまだ時間がかかりそうなんだ。
一般の人だけでなく、有名人の中にもビットコイン詐欺に遭っている人はいるんだね…。
ビットコイン詐欺の主な手口は?
ビットコイン詐欺の主な手口として、ビットコインを送金させて奪ったり、ビットコイン関連の投資詐欺で騙したりする手口が挙げられます。
ビットコイン詐欺の手口(例)
- 「ビットコインに投資すると儲かるから、私(or特定の取引所)にビットコインを送って」と伝え、ビットコインを奪う
- ビットコインのマイニングや自動売買ツールなどに投資を促し、お金を奪ったりマルチ商法に誘導したりする
- 一斉送信の詐欺メールを使った振り込め詐欺
ビットコイン詐欺が起きているのは事実だけど、「ビットコインそのものが詐欺で、コインが一夜にして無くなる」とか、そういう感じの詐欺ではないんだね。
この手の詐欺って、ビットコイン特有の詐欺ではなくて、現金で主に行われている詐欺だよね。
詐欺でビットコインを悪用する人が悪いのに、「ビットコイン詐欺はビットコインが悪い」みたいな考え方をされてしまうのが残念だよ。
あとは、ビットコイン初心者が「こっちの仮想通貨の方が儲かるよ!」とか声を掛けられて、詐欺コインに騙されてしまうパターンも心配だなって思ったよ。
詐欺師はあの手この手で資金をだまし取ろうとしそうだから、本当に気を付けないといけないね。
【まとめ】ビットコイン自体は詐欺ではない!悪用する詐欺師に注意
ビットコイン詐欺・ポイントまとめ
- ビットコイン自体は詐欺ではない
- ビットコインを悪用した詐欺の手口として、ビットコイン投資を勧めて資金を奪う事件や、ビットコイン関連の投資詐欺(マルチ商法の勧誘)が起きている
- ビットコインに対するメディアの批判的な報道や、「何となく怪しい」「投資は危険」というイメージから、ビットコインを詐欺だと誤解する人もいる
ビットコインを詐欺に悪用する人はいるのは確かだけど、ビットコイン自体が詐欺というわけではないんだね。
何というか、「包丁は犯罪に使う人もいるけど、正しく使えば便利なもの」とか、そんな感じかな?
その通りだね。
ちなみに、この記事の筆者(Minami)の身内は大の仮想通貨ぎらいで、ビットコインについて説得したことがあるけど「それは詭弁だ」って一蹴されたんだ。
誰かの意見を変えることってすごく難しいことだから、そういう場合は無理強いせずに別の角度から考えた方が良いかもね。
色々な考えの人がいるのも分かるし、「仮想通貨は全部ひっくるめて悪いもの!」って思えば手っ取り早いのかもしれないけど、まずはビットコインのことを色々知ってから判断したいな。
ビットコインについて、もっと知っとこ!
関連記事:【漫画】ビットコインの仕組みを図解で分かりやすく解説【初心者向け】
執筆者:Shigeru Minami
「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。
ビットコイングッズのハンドメイド作家として活動中。