ビットコインって何?なぜ発明されたんだろう。
初心者にも分かりやすいように、イラスト付きでビットコインが何なのかを解説するよ。
監修者:東晃慈
2014年の黎明期からビットコイン関連事業に取り組む国内業界の草分け的存在の一人。
Diamond Hands共同創業者/YouTubeチャンネル「ビットコイナー反省会」運営
本記事は「Bitcoin Explained」と「初心者向け:ビットコインとは (Bitcoin Explained 日本語訳)を参考に作成しました。
参考日:2023年12月31日
ビットコインはなぜ発明された?
最近よく聞くビットコイン、そもそも一体何なんだろう?
「ビットコインがなぜ発明されたのか」を知ると、ビットコインのイメージがつかめるかもしれないよ。
ビットコインは送りたい人に直接送れる
ビットコインは、銀行やクレジットカード会社を通さずに、お金の管理や送金・受け取りができるように設計されています。
ビットコインが生まれるまでは、銀行やPayPayのような決済・送金サービスを通さずにお金を送るのは困難でした。
なぜなら、「お金を送りたい」と手続きをした人が本当にお金を持っているかどうか、銀行や企業が確認しないと分からないからです。
でも、なぜ銀行や送金業者を通さない手段があるといいんだろう?
送金に銀行や企業を通すデメリット
銀行や企業を通した送金は時間がかかる上に、手数料が高いデメリットがあります。
例えば、日本に出稼ぎに来ている外国人労働者は、自国の家族にお金を送るために数千円前後の手数料支払いが必要です。
例えば、日本から海外の被災地に寄付を送る場合、募金箱に入れたお金が現地に届くには数日~1週間程度かかります。
でも、PayPayのような決済サービスはすぐに支払いできるし、手数料もかからないよ?
決済サービスはお店側の負担が大きいんだ。
お店に売上金が振り込まれるのは月に1~2回に限られている上に、お店は決済手数料として約2~10%を支払っているんだよ。
決済手数料が5%だとしたら、1日の売り上げが20万円だった場合に1万円の手数料がかかる計算です。
1か月で換算すると、600万円の売り上げに対して、毎月30万円の手数料が発生することになります。
銀行は本当に信用できるのか
銀行はお金を安全に保管できる場所として、多くの人々が利用しています。
しかし、海外では銀行を信用していない人も少なくありません。
銀行は利用者から預かった資産を運用(上手に使用)して収益を得ていますが、利益を優先した無理な運用によって破綻した銀行もあります。
2008年の大手投資銀行「リーマンブラザーズ」が破綻した際は世界的な金融危機が発生し、日本でも中小企業の相次ぐ倒産・派遣切りが多発して社会問題になりました。
銀行が破綻したら、預けていたお金を返してもらえないこともあるんだね…。
でも、日本では誰もが銀行のことを信用しているし、大丈夫だと思いたいけど。
日本の銀行の中には、銀行の利益を最優先にして、手数料の高い保険・投資信託などのサービスを販売しているケースもあるよ。
日本は先進国の中でも金融リテラシー(お金に関する知識)が低いとされていて、金融への関心の薄さを心配する声もあるんだ。
ビットコインは誰が発明したの?
正直、ビットコインって単なるお金儲け用のコインなのかと思っていたけど、ちょっと違うのかな。
一体どんな人が発明したんだろう?
ビットコインの開発者は「サトシ・ナカモト」と呼ばれる、謎に包まれた人物だよ。
消えた「サトシ・ナカモト」
2008年、サトシ・ナカモトと名乗る謎の人物がビットコインの論文を発表しました。
年齢・国籍・性別も不明で、個人かグループなのか、生きているかどうかも分かりません。
ビットコインは誰が作ったのか分からないってこと!?そんなの、何だか怪しくない?
名乗れない事情があったんじゃないの?
サトシ・ナカモトが正体を隠しているのは、ビットコインが権力や個人に依存しない、分散型の通貨を目指しているからだと考えられているよ。
分散型とは、中央集権型(権力が1つに集中)の反対で、世界中のたくさんのコンピューターで管理するシステムのことです。
これまでの中央集権型の通貨は、政府の方針で大量に発行されてインフレ(お金の価値が下がる)を起こしたり、保管する銀行が運用に失敗して損失を出したりする問題点があります。
政府や銀行に権力が集中し、誤った施策を行った結果、国民の暮らしに大きな影響を与えたことが過去に何度もありました。
サトシ・ナカモトは分散型の仕組みを目指す一方で、サトシが存在していたら「みんながサトシを頼ってしまって、サトシに権力が集中してしまう可能性」もあったんだ。
「サトシがいないからこそビットコインの分散化が進んでいる」と考える人もいるよ。
なお、初めて発行されたビットコインのコードには「銀行救済に二度目の公的資金注入へ」というメッセージが埋め込まれており、ビットコインの発明にはリーマンブラザーズの破綻に伴う金融危機が関係している可能性を示しています。
関連記事:サトシ・ナカモトは日本人じゃない?ビットコイン創設者の謎やポケモンとの関連性を独自考察
ビットコインは誰が運営しているのか
銀行や政府が発行するお金と異なり、ビットコインには特定の管理者や運営元が存在しません。
世界中に散らばった1万以上のノード(コンピューター端末)がデータを共有し、ビットコインの取引データ(トランザクション)の確認や記録を行っています。
ノードは誰でも自由に参加でき、日本でもノードを運営している人がいます。
ビットコインは特定の人物や1つの企業が運営しているわけではないんだね!
銀行のような運営元がいない仕組みだから、口座開設を断られたり、口座を凍結されたり、高い手数料を取られたりしないんだ。
なお、世界では20億人以上の人が銀行口座を開設できない状態と言われています。
身分証明システムが未発展の国や、政府の不安定さから身分証明書を取得できない国、何らかの事情で国を渡った移民や難民など、多くの人が基本的な市民権を受けられずにいます。
ビットコインはスマホとインターネットを使用できれば誰でも保有可能です。
中央集権型の銀行にアクセスできない人でも、分散型のビットコインは利用できるかもしれません。
ビットコインって何?初心者向けにわかりやすく解説
結局、ビットコインって何なのかな?
銀行のような管理者がいないことは分かったけど。
ビットコインは今までのお金のシステムにはない、独自の特徴がある通貨だよ。
- 世界の裏側にすぐ届く「新しいお金」
- 誰にも偽造・複製されない
- 暗号化による高いセキュリティ
- 発行枚数が2100万枚に限られている
- 1円以下の支払いができる「マイクロペイメント」
世界の裏側にすぐ届く「新しいお金」
ビットコインは完全にデジタルな、新しいお金の形です。
円やドルとは違った世界共通の通貨で、インターネットがつながっていれば世界中どこの誰でも使えます。
100円玉のような硬貨、1000円札のような紙幣はなく、コンピューターやスマホからアクセスする通貨です。
銀行を通さずに人から人へ直接ビットコインを送れるから、いつでもどこでも、速くて安い送金ができるよ。
関連記事:世界でのビットコイン活用方法!実用性のある13の活用事例を紹介
誰にも偽造・複製されない
ビットコインを管理する人がいないなら、勝手に偽物を作る悪い人がいるんじゃない?
デジタルな通貨なら、コピーもできそうな気がするけど。
ビットコインは「二重支払い問題」と呼ばれる難しい問題を解決しているから、偽造や複製ができないんだ。
二重支払いとは、デジタル通貨や電子マネーにおいて、使用済みの通貨をもう一度使用する行為のことです。
中央集権型の電子マネーは、運営元の管理する中央サーバーが全ての残高を管理することで、同じ通貨が2回使われないようにしています。
一方、分散型のビットコインは、全ての口座と取引を全世界のユーザーに公開することで二重支払い問題を解決しました。
全世界に取引を公開するなんて、何だか逆転の発想だね!
でも、取引が見られているのは、名前とか住所とかの個人情報が流出しないか心配だよ。
公開されるのはウォレットアドレスと送金額だけだから大丈夫だよ。
ウォレットアドレスはビットコインを送受信する際に必要なアドレスで、個人情報とは直接関係ないんだ。
取引ごとに新しいアドレスを作ることもできるよ。
暗号化による高いセキュリティ
ビットコインはハッキングで盗まれたことがあると聞いたけど、ビットコインは簡単に盗まれちゃうのかな?
ビットコインのコード自体がハッキングされたことは一度もないよ。
ビットコインのハッキング事件は、ビットコインを保管している取引所の保管方法に問題があったんだ。
ビットコインは複数の暗号化技術を組み合わせて、安全な送金ができるようにしています。
暗号化とは複雑な数学によって情報を保護する技術で、他の誰かがビットコインを使用したり、送金先を勝手に変えたりできない仕組みです。
ただし、ビットコインの保有方法に問題があると、ハッカーに盗まれてしまう可能性があります。
過去に日本の取引所で起きた「マウントゴックス事件」では、管理体制の甘さから約85万BTC(当時の価格で約490億円)がハッキングされてしまいました。
ビットコインのハッキング事件は「ビットコインは簡単に盗まれる危ないモノ」というイメージを持たれやすくて、すごく残念だよ。
実際のところ、ビットコインを保管している取引所のセキュリティが「体当たりで簡単に壊れる扉」のような状態で、ビットコイン自体には問題がないんだ。
現金もビットコインも、保管方法を間違えたら盗まれるかもしれないけど、正しく管理すれば安全ということだね。
関連記事:ビットコインのハッキング事件|なぜ流出?日本の取引所で起きた仮想通貨の盗難
発行枚数が2100万枚に限られている
ビットコインは発行上限が2100万枚と決まっていて、それ以上に増えることはありません。
量が限られていて貴重なため、一般的な通貨よりも価値が上がりやすいと考えられています。
普通の通貨は国が発行量を決めており、たくさん発行されるとインフレが発生します。
インフレが起きるとお金の価値が下がり、「今まで100円で買えたアイスが170円になった」ということがあらゆる場所で起こるのです。
ビットコインの発行上限って、簡単に変更できたりしないの?
デジタルなお金だし、開発する人がポチポチってすれば発行上限を増やせそうな気もするけど。
2100万枚の発行上限はビットコインの基本的なルールの1つで、このルールを買えるには世界中の大多数のコンピューターの同意が必要だよ。
発行上限を変えるのは極めて難しいからこそ、ビットコインに価値があると考えている人もいるんだ。
関連記事:ビットコインはなぜ価値がある?有識者にインタビュー【価値がなくなる可能性は?】
1円以下の支払いができる「マイクロペイメント」
1ビットコインは数百万円もすると聞いたよ。
すごく高価だし、普通の人が気軽に使うのは難しい気がするけど…
ビットコインは小数単位で使えるんだ。
0.00000001ビットコイン単位で買ったり送ったりできる通貨で、1円以下の支払いにも利用できるよ。
マイクロペイメントとは少額決済のことで、ビットコインの開発が期待されている分野の1つです。
これまでの支払いシステムでは、1円・10円などの超少額決済は経費を考えると現実的なものではありませんでした。
一方、ビットコインは1億分の1ビットコインの単位で利用できるため、とても小さな金額の支払いにも使えます。
ビットコインの少額決済ができる「ライトニングネットワーク」などの技術革新が進んでおり、1円以下の少額決済が現実化することで、AIやIoTなど今までにはなかった新しい市場が生まれる可能性があります。
※IoT…様々なモノがインターネットにつながる仕組み
例えば「記事の続きを読むのに0.1円支払う」「SNSでいいねを押す感覚で0.1円の投げ銭が送れる」ということができるイメージだよ。
リアルタイムで超少額決済ができる仕組みを活用した、新しいサービスが登場するかもしれないね。
1円以下の支払いに使えるなんて、確かに「新しいお金」って感じがするよ!
関連記事:ライトニングマルシェとは?ビットコイン好きな人々の草の根活動を紹介
【まとめ】ビットコインって何だろう?
ビットコインは銀行や送金業者を通さずに、個人から個人に直接送れるシステムです。
速くて安い送金がいつでもできて、地球の裏側にもあっという間に届きます。
発行枚数に限りがある、超少額でも利用できるなど、これまでの通貨とは違った「新しいお金」と言えます。
ビットコインって「儲かった!」「損した!」とか、お金儲けのイメージが強かったけど、単にそれだけじゃないんだね。
今までになかった新しい仕組みで、これから色々な使い道が生まれていくのは何だか面白そうだよ。
1ビットコインが何円だとか、どうしても価格が注目されがちなんだけど、ビットコインの技術についても知ってもらえたら嬉しいな。
世界中で開発が進められているし、将来的にはもっと身近な存在になるかもしれないよ。
ビットコインは何だか難しそうだし、よく分からないから何となく不安だったけど、他にも色々知りたいなって思ったよ。
ビットコインについて、もっと知っとこ!
本記事は「Bitcoin Explained」と「初心者向け:ビットコインとは (Bitcoin Explained 日本語訳)を参考に作成しました。
初心者にも分かりやすい内容になっているので、ぜひチェックしてみてください。
本記事の執筆者(Minami)による超初心者向けショートアニメもあります
執筆者:Shigeru Minami
「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。
ビットコイングッズのハンドメイド作家として活動中。