Phoenix walletって何だろう?
ビットコインを保管できると聞いたけど…
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)はビットコインを保管できる、ノンカストディアルのウォレットアプリです。
ユーザー自身が秘密鍵を管理する仕組みで、運営元に依存せずビットコインに直接アクセスできます。
この記事では、Phoenix walletの使い方や入金・出金方法を解説するよ。
本記事のざっくりまとめ
- Phoenix walletはビットコインのライトニング決済ができるウォレットアプリ
- セルフカストディアルウォレットで、運営元に依存せずにビットコインを直接管理できる
- チャネル開設などの概念があり、カストディアルウォレットよりも利用の難易度は高い
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)とは?
Phoenix walletはビットコインのライトニング決済ができるウォレットアプリです。
※ライトニング・ネットワーク…ビットコイン上に構築された少額決済システム。通常のビットコイン取引よりも高速かつ安価な決済ができ、マイクロペイメント(超少額決済)も可能
ノンカストディアルのウォレットで、中央集権的な運営元に依存せずにビットコインを自分で直接管理できます。
- カストディアルウォレット:取引所やサービス運営企業が秘密鍵を管理
- セルフカストディアルウォレット:ユーザー自身が秘密鍵を管理
ライトニング決済や送金の他に、ビットコイン対応SNSでsatsを投げ銭する際にも活用できるんだね。
※sats(Satoshi)…ビットコインの最小単位。1sats=0.00000001 BTC
セルフカストディアルウォレットで自分で管理する仕組みだから、運営元からの不正アクセスや、運営元がハッキングを受けるリスクを下げられるんだ。
ただし、自分で管理する分、自分の責任が大きくなるという側面もあるよ。
ビットコインに一度も触ったことのない完全初心者だと、いきなりセルフカストディアルウォレットを使うのは難しいかもしれないね。
まずはカストディアルウォレットでビットコインの用語や送金方法に慣れてから、セルフカストディアルウォレットのPhoenixにステップアップするのも有りかもしれないよ。
カストディアルウォレットに比べると、Phoenixは秘密鍵の管理や、チャネルの開設という概念があるから、難易度が上がるのは確かだね。
だけど、ビットコインの特性である「第三者に依存せずに自分で管理できる」という点を重んじる人は、セルフカストディアルウォレットを選ぶことが多い、というのは知っておくと良いよ。
関連記事:Wallet of Satoshi(ウォレットオブサトシ)の使い方!ビットコインの入金・出金方法を解説
先にカストディアルウォレットを確認したい方はこちらの記事をどうぞ。
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)の使い方
Phoenix walletの使い方が知りたいな。
どうやって始めればいいんだろう?
2024年2月11日時点での、Phoenixの始め方を解説するよ。利用する時は最新情報もあわせて確認してね。
それから、説明にはiPhone版の画像を使っていて、Android版だと若干異なる箇所もあるから、あくまでも参考程度に見てほしいな。
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)の始め方
まずは公式サイトからアプリダウンロードに進みます。(iPhoneとAndroidに対応)
説明を確認したら「Create new wallet」をタップするんだね。
ホーム画面左上の歯車マークから、リカバリーフレーズの確認に進もう。
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)のリカバリーフレーズを記録
「Settings」内の「Recovery phrase」でリカバリーフレーズを確認できます。
12の英単語(シードフレーズ)を記録し、安全な場所に保管しましょう。
その後、LEGALの欄に書かれている内容を確認したらチェックマークを入れます。
秘密鍵の基礎知識
- 紙などに書き留め、盗難や火事で失わないようなセキュリティの高い場所に保管する
- PCやスマホのメモ機能など、デジタル形式での保存は非推奨(オンライン上に流出する恐れがある)
- 第三者に秘密鍵を知られると資産を失う可能性があるため、絶対に他人に教えない
- 運営元を騙って秘密鍵を聞き出そうとする詐欺師に注意。秘密鍵の入力を促すサイトも詐欺サイトで確定
スマホを紛失した場合は、Phoenixを再インストールして「Restore my wallet」に進み、12の秘密鍵を入力すればOKだよ。
ふむふむ。
ちなみに、iCloudのバックアップっていうのは何だろう?
オンにするとシードフレーズがicloudに保存されるんだけど、これを使う場合は「Apple従業員がiCloudデータにアクセスできる可能性がある」「AppleがiCloudデータを政府機関と共有する可能性がある」ことを理解しているかどうか確認されるんだ。
Apple経由で情報が流出する可能性があることを踏まえた上で、使うかどうかを慎重に検討した方が良さそうだね。
関連記事:【ビットコイン】リカバリーフレーズ保管方法!秘密鍵・パスフレーズとの違いや注意点を解説
Phoenix walletのアクセス設定
Settingsの「App access」に進み、「Require Face ID」をオンにすると、Face IDによる顔認証をアクセス時に設けられます。
また、「Allow passcode fallback」を追加で設定すると、顔認証が失敗した際にiOSパスコードの入力でアクセスできるようになります。
顔認証のアクセス設定をしておけば、スマホをなくしたとしてもPhoenix walletを勝手に悪用されずに済むかもしれないね。
Phoenix walletのチャネル開設について
Phoenix walletは、ユーザーがチャネルを開設する仕組みのウォレットです。
チャネル開設をざっくり言うと、ライトニングネットワーク上で送金・受金するためのsatsの通路を設けるイメージです。
Phoenixへの初回入金時に、チャネル開設費用として3000sats前後※の手数料が発生します。
参考:Introducing the new Phoenix: a 3rd generation self-custodial Lightning wallet
※2024年2月11日時点で3000sats=213円前後
ライトニングネットワークについて
ライトニングネットワークは仲介者を通して送金を行う仕組みで、間接的につながっていれば改めてチャネルを開く必要はありません。
- A↔Bの間にチャネルがあり、またB↔Cの間にチャネルがある場合、Bを経由してA→B→Cという送金ができる。
- A↔Cの間にチャネルを作る必要がない。
Phoenixを利用する場合、運営元のACINQ社との間でチャネルが開設される。
PhoenixはACINQを経由して送金・受金することになる。
3000satsって聞いて少し不安になったけど、1satsはすごく小さいんだね。
リアルタイムのsatsの価格は「おいくらサッツ」で確認できたよ。
Phoenixの場合はACINQ社を経由して、他のライトニングネットワーク利用者に送金できるんだ。
なお、個人同士でチャネルを開設したいという人にはカスタマイズ性の高いウォレットが選ばれているけど、難易度がさらに上がることを知っておこう。
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)の入金方法
ホーム画面の「Receive」に進み、「copy」をタップしてライトニングアドレスを取得します。
送金を行うウォレットを起動し、送金作業を行います。
Wallet of Satoshiの場合
- 「送金」をタップ
- Phoenixで取得したライトニングインボイスをペースト
- 送金したいsatsを入力して「送信」をタップ
なお、初回のチャネル開設時には「サービス手数料」と「マイナー手数料」が発生するため、本来送りたい額よりも多めにsatsを送る必要があります。
筆者(Minami)の調査時(2024年2月11日)
Wallet of SatoshiからPhoenixに10000satsを送金
・Phoenixに5803satsの着金
・サービス手数料が1000sats、マイナー手数料が3197sats発生
・Wallet of Satoshi側は2satsの手数料が発生
筆者が初回の送金受け取りを試したときは、10000satsのうち5803satsが受け取れて、4197satsは手数料として支払ったみたいだよ。
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)の出金方法
まずは送金したいウォレットのライトニングアドレスを取得します。
Wallet of Satoshiから送金する場合
- 「受信」をタップ
- Lightningアドレスの「コピーする」をタップしてアドレスを取得
- Phoenix walletに戻って「Send」に進み、「Paste from clipboard」をタップしてアドレスをペースト
- 送りたいsatsの数量を入力し、「Pay」をタップ
- コメント付きで送りたい場合はメッセージ内に文字を入力し「Pay」をタップ
筆者(Minami)の調査時(2024年2月11日)
【PhoenixからWallet of Satoshiへ送金】
・1sats送金:4satsの手数料が発生
・100sats送金:4satsの手数料が発生
・15000sats:64satsの手数料が発生(lightning fee:0.4% + 4sats)
手数料は変動するから、詳細はアプリの説明を確認しよう。
Phoenix walletの入金に使う取引所はどこがいい?
Phoenix walletを使うにはビットコインを入金する必要があるよね。
仮想通貨取引所から入金する場合、どの取引所を使うのが良いんだろう?
国内取引所のそれぞれの特徴をまとめてみたよ。
よかったら参考にしてね。
送金手数料 | BTC取引所 | ハッキング被害 | 設立日 | 最低取引数量 | |
---|---|---|---|---|---|
GMOコイン | 無料 | ○ | ー | 2017年 | 販売所:0.00001BTC 取引所:0.0001BTC |
SBIVCトレード | 無料 | ○ | ー | 2018年 | 販売所:0.0001BTC 取引所:0.000001BTC |
(DMMビットコイン) | 無料 | × | ― | 2018年 | 0.0001BTC |
ビットポイント | 無料 | ○ | 2019年 (約35億円) | 2016年 | 販売所:0.00000001BTC 取引所:0.0001BTC |
ビットフライヤー | 0.0004BTC (約2400円) | ○ | ー | 2014年 | 販売所:0.00000001BTC 取引所:0.001BTC |
コインチェック | 0.001BTC※1 (約6000円) | ○ | 2018年 (約580億円) | 2014年 | 販売所:500円相当額 取引所:0.005BTC |
ビットバンク | 0.0006BTC (約3600円) | ○ | ー | 2014年 | 販売所:0.00000001BTC 取引所:0.0001BTC |
OKcoinjapan | 設定可能範囲: 0.0005~0.02BTC (約3000~120000円) | ○ | ー | 2020年 | 販売所:0.0001BTC 取引所:0.0001BTC |
Zaif | 0.0001〜 0.01BTC (約600~60000円) | ○ | 2018年 (約67億円) | 2015年 | 販売所:0.0001BTC 取引所:0.001BTC |
ビットトレード | 0.0005BTC (約3000円) | ○ | ー | 2019年 | 販売所:0.0001BTC 取引所:0.00001BTCかつ2 円 |
LINE BITMAX | 0.0001BTC (約600円) | × | ー | 2019年 | 0.00000001BTC |
※1 手数料変動制(0.0005~0.016BTC)が併記されているため、詳細はサイトでの確認をお願いします
※取引所にはそれぞれ最小出金金額があるため、詳細はサイトでの確認をお願いします(全量出庫なら制限なしの取引所もあるものの、取引所によっては詳細が記載されていない点に注意)
関連記事:ビットコインのハッキング事件|なぜ流出?日本の取引所で起きた仮想通貨の盗難
ビットコインの送金手数料が無料の取引所
- GMOコイン
→2023年のビットコイン出来高がビットフライヤーに次ぐ2位 - SBIVCトレード
→ステーキング(イーサリアムなど)に力を入れている - DMMビットコイン(注:Segwit非対応)
→取引に使える現金のプレゼントキャンペーンがある(条件は要確認)。販売所形式のみ対応 - ビットポイント
→国内で初の取り扱いとなる仮想通貨が多い(ADA、TRX、SHIB、ツバサガバナンストークンなど)
注意:Segwit入出金に非対応の取引所がある
ビットコインアドレスにはいくつかの種類があり、例えば「3」から始まるアドレスはすべての取引所での入出金に対応しています(トラベルルール考慮外)。
一方、Phoenixは「bc1q」から始まるSegwit対応のアドレス(従来型よりfeeが安い)で、一部の取引所では入出金に対応していません。
仮にSegwit非対応の取引所でビットコインを用意してしまった場合は、「一度別の取引所やウォレットに移動した上でPhoenixに送る」という手間&送金コストが発生する点に要注意です。
各取引所のSegwit対応(2024年2月時点)
- Segwit対応の記載が公式サイトの記述にある取引所
ビットバンク - Segwit入出金に対応していないと思われる取引所
DMMビットコイン(出金不可の報告あり) - (参考)Segwitアドレスに送れたという利用者の声を発見できた取引所
GMOコイン/ビットフライヤー/コインチェック
取引所の仕様、及び最新の状況はご自身での確認をお願いします。
2011~2024年(2月時点)のビットコイン年間出来高
ビットコインをウォレットに入金する際は、仮想通貨取引所の送金手数料が発生するんだね。
数千円かかるのが一般的だけど、送金手数料無料の取引所もあるみたいだよ。
将来的には、ライトニングネットワークでの出金に対応する取引所が出てきてほしいな。
オンチェーン送金よりも手数料がずっと安いし、海外ではライトニングネットワークに対応している取引所も増えているから、日本でも早く始まってほしいよ。
関連記事:ビットコインのスプレッド比較表!販売所は広すぎるので要注意
関連記事:トラベルルールのデメリットとは?仮想通貨の送金への影響や回避策・ビットコインの性質との矛盾点を分かりやすく解説
Phoenix wallet(フェニックスウォレット)利用時の注意点
Phoenix walletを使う時の注意点も知っておきたいな。
気を付けておくべきことをいくつか紹介するよ。
受け取りに失敗することがある
Phoenixはカストディアルウォレットよりも複雑な仕組みであり、時にはsatsの受け取りに失敗することがあります。
参考までに、執筆者(Minami)が受け取りに失敗し、元のウォレットに返金された事例を紹介します。
Phoenix初回利用時
受け取るsatsの額よりも手数料が50%以上になる場合、支払いが不成立になる
例:10000satsの送金に対し、Feeが5208satsの場合は失敗する
Sats受け取り時の手数料が、手数料の上限額の設定を超える場合は支払いが不成立になる
例:手数料の上限額が5000sats(デフォルト)の場合、5208satsの手数料が発生する支払いは失敗する
インバウンドキャパシティ不足による手数料増加
インバウンドキャパシティ不足
インバウンドキャパシティ(インバウンドリクイディティ)
…ライトニングネットワーク上で受け取りできるビットコインの最大量のこと。
他のユーザーからの支払いを受け取ったり、既存のチャネルでアウトバウンドキャパシティ(送金可能額)を使ったりすれば、徐々にインバウンドキャパシティ(受け取り可能額)が増えていく
手数料の上限額の変更は「Channel management」で行う
インバウンドキャパシティっていうのはちょっと難しいね。
Wallet of Satoshiなどのカストディアルウォレットには無かった概念だよ。
Phoenixを初めて利用する時や、インバウンドキャパシティを超える大きな額を受け取る際は焦らずに操作しよう。
安易にデータを消すのは避ける
Phoenixの利用時に送受信がうまくいかない場合に、焦ってアプリを消したり、データを初期化したりするのは避けましょう。
特に「Force Close」は“この機能の内容を完全に理解していない場合は使用しないでください”といった注意書きもされているので、安易に取るべき措置ではありません。
Force Closeはチャネルを強制的に閉じる操作で、資金が数日間ロックされることになってしまうんだ。
Phoenixで問題が起きた場合は、焦らずに公式サイトを確認したり、サポートに問い合わせしたりするのが良さそうだね。
最新の動向をよく確認する
本記事は2024年2月11日時点の調査であるため、最新の確実な情報はPhoenix公式サイトから情報を得るようにお願いします。
PhoenixのFAQページからも様々な情報が得られます。
ちなみに、筆者(Minami)はスマホアプリ画面の翻訳には「Google翻訳」アプリを使っていたよ(スクショ画像の英語を翻訳可能)。
翻訳アプリは色々あると思うから適宜探してね!
念のため。ビットコインは1つのウォレットだけで大きな額を管理するのは避け、分散管理を徹底するようにしよう。
万が一のアクシデントに備えることが大事だよ。
【まとめ】Phoenix wallet(フェニックスウォレット)の使い方
Phoenix wallet・ポイントまとめ
- Phoenix walletはビットコインのライトニング決済ができるウォレットアプリ
- セルフカストディアルウォレットで、運営元に依存せずにビットコインを直接管理できる
- チャネル開設などの概念があり、カストディアルウォレットよりも利用の難易度は高い
Phoenixは完全初心者には難しいかもしれないけど、「セルフカストディアルウォレットにステップアップしたい!」という人に向いているウォレットなんだね。
ビットコインの「第三者に依存せずに自分で管理できる」という性質を重んじる人は、セルフカストディアルウォレットを選ぶことが多いんだ。
ビットコインって何だか難しそうだし、よく分からないから何となく不安だったけど、他にも色々知りたいなって思ったよ。
ビットコインについて、もっと知っとこ!
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執筆者:Shigeru Minami
「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。
ビットコイングッズのハンドメイド作家として活動中。