ビットコインは電気代が高いって聞いたけど…
環境に悪いっていう意見も見たことがあるよ。
ビットコインへの批判的な意見として、「ビットコインは環境に悪い」という主張が見られることがあります。
しかし、近年では再生可能エネルギーを活用したマイニングが広がっており、海外では環境破壊どころか環境問題を解決できるかもしれない手段として注目されています。
この記事では、ビットコインが指摘されている電力・環境問題や、近年広がっているマイニング技術について分かりやすく解説するよ。
本記事のざっくりまとめ
- ビットコインのマイニングに電力が必要なのは事実だが、他の産業と比較してエネルギー消費量が特別多いという訳ではない
- 再生可能エネルギーへのシフトが進んでおり、CO2排出量は年々減少している
- 余剰電力を使ったマイニングや、小さな村に電力を供給する小規模発電&マイニングの組み合わせなど、世界で起きている様々な問題の解決につながる技術開発が進んでいる
ビットコインが指摘される電気代問題とは
運営元のいない分散型ネットワークのビットコインは、改ざんを防ぐための仕組みとして「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」を採用しています。
PoWは膨大な量の計算処理を行う必要があり、マイニングマシンには大量の電力が使われています。
ビットコインは分散性を保ちつつ、悪意ある攻撃を仕掛けられにくくするために、攻撃コストが非常に大きい仕組みを取り入れているんだ。
高性能マシンがたくさん必要で、機器を冷やすための冷却システムにも電力が必要になるんだね。
関連記事:【漫画】ビットコインの仕組みを図解で分かりやすく解説【初心者向け】
「ビットコインは環境に悪い」説は正しいのか?
ビットコインにはたくさんの電力が必要なんだよね?
じゃあ、環境にもあまり良くないのかな?
電気代がかかるのは確かだけど、他の産業と比べてCO2排出量が特別多いっていう訳ではないんだよ。
以前に比べて再生可能エネルギーの利用が進んでいることも知っておいてほしいな。
ビットコインマイニングを他の産業と比較
BMCが2023年に発表したレポートによると、世界のビットコインマイニング事業で使用されるエネルギーは275TWh、金(ゴールド)の採掘事業は571TWhであり、金に比べてビットコインのエネルギー消費量が約半分だと示されています。
あれ?確かにビットコインのエネルギー消費が特別多いっていう感じではないね。
ビットコインマイニングの275TWhに対して、
Residential Buildings(住宅)が26,481TWh、
Air Conditioning(エアコン/アメリカ)が6,283TWh、
Finance&Insurance(金融&保険)が4,939TWhって示されているよ。
ビットコインを批判しようとする人が電力問題を槍玉に挙げて「環境破壊だ!」と主張することがあるんだけど、他の業界の電力消費に言及しないのはちょっと不公平な感じはするよね。
そういえば、数年前にはビットコイン取引とVISA(クレジットカード)の取引にかかる電力消費量が比較されて、ビットコインが批判されたって聞いたことがあるけど…。
ビットコイン取引とVISA取引の比較は、比較対象として適切ではないんじゃないかな。
VISAのシステムが成り立つには、国際的な金融システムを保ち続ける莫大なエネルギー消費が必要な訳だし、取引だけをピックアップして比較するのは違和感があるよね。
VISAの金融システムに関わる全てのエネルギー消費量を計算するのは難しそうだけど、ビットコインはエネルギー消費量が分かりやすい分、批判の的にもされやすいのかもしれないね。
関連記事:ビットコインのマイニングとは?現在の報酬や終了時期・やり方や仕組みを紹介
ビットコインマイニングのCO2排出量は減少している
ビットコインの排出原単位(活動量あたりのCO2排出量)は過去3年で約半分に減少しました。
化石燃料によるマイニングが活発だった中国が2021年にマイニングを規制したことで、CO2排出量が低下した側面があります。
また、エネルギー効率の良いマイニング機器の導入や、再生可能エネルギーへのシフトも進んでいます。
最新のマイニングマシンの利用が拡大している
新しいマシンはより少ない電力で多くの計算ができるから、効率的なマイニングマシンの使用が広まれば電力消費量やCO2排出量を減らす効果が期待できるんだ。
「ビットコインは環境破壊」という考え方は過去のもの
近年では、マイニング消費電力の半分は再生可能エネルギーが占めると言われています。
環境に配慮する動きに加え、マイニング事業者が採算をとるためにできるだけ安い電力を追い求めることで、買い手がつかない余剰供給の自然エネルギーが選ばれるケースが増えました。
石炭などの化石燃料は採掘や輸送コストの他、温室効果ガスの排出量に対して課税される炭素税も考慮する必要があるんだ。
一方、再生可能エネルギーは技術開発によってコストが下がってきていて、今後の技術革新によって多くの地域での利用拡大が期待されているよ。
何だか、昔の情報のイメージで「ビットコインは環境に悪い!」って主張している人もいる気がするよ。
ビットコイン環境破壊論を唱える人がいたら、その人は新しいニュースを追えていないか、別の理由があってビットコインのイメージダウンを狙っている可能性とかもあるって、頭の片隅に入れておいた方が良さそうだね。
Google検索における「SDGs」検索トレンド
ちなみに、イーロンマスクがビットコインの電力問題を指摘した2021年は、世界的にSDGsなど環境関連の話がトレンドになっていた側面もあるんだ。
世界的に見ると、最近ではSDGsへの関心はやや落ち着いている感じがあるね。
日本ではSDGsって結構聞くし、今後も「ビットコインは環境に悪い!」っていう意見が多く発信されるのかもしれないね…
最近はビットコインマイニングが環境破壊どころか、環境問題を解決できるかもしれない手段として注目されているし、ユースケースも増えているんだよね。
「ビットコインが環境に悪いという批判はもう古い」という考え方が海外で広まった後に、数年遅れでもいいから日本にも浸透すれば良いなぁとは思うよ。
ビットコインマイニングは電力問題の解決方法として注目されている
🤩#Bitcoin mining improving the economics of a hydro power plant in 🇰🇪 Kenya pic.twitter.com/KgYKhzHq8u
— Luxor Technology 🟧⛏️ (@LuxorTechnology) January 21, 2024
電気のない生活を強いられてきた人々が、ビットコインと小規模発電の組み合わせによって、電気を利用できるようになったというユースケースが注目を集めています。
アフリカの小さな村で小型の水力発電所を建設する場合、住む人々が少ないために採算が取れない上に、余剰電力が無駄になる問題がありました。
しかし、余剰電力をマイナーに売却することで、初期投資のコスト回収をしつつ安定した電力を持続的に供給できます。
- 小さな村で発電される余剰電力は、安い電力を探しているマイナーからの需要がある
- 小型発電機の設置を検討する小さな村にとっては、初期段階から電力を買い取ってくれる相手がいるため導入ハードルを下げられる
- 村に電気が普及すれば人が集まり、経済活動が活発化する
- 村が発展を遂げて電気代が高騰したら、マイナーは安い電力を求めて別の村での活動に移行する(各地域の発展に貢献する可能性がある)
再生可能エネルギーで発生する余剰電力は使い道が難しく、これまでは垂れ流されていたことが多いんだ。
だけど、マイニングなら余剰電力がある時に計算能力に変換できるから、電力を無駄にせずに経済的価値を生み出せるんだよ。
ビットコインマイニングが環境問題の解決につながる事例
- メタンガスの活用
→ゴミ埋立地から排出されるメタンガスを回収し、電力に変換してマイニングを行う
(メタンはCO2の約25倍の温室効果があると言われている) - フレアガスの活用
→石油の精製時に発生し、焼却処分されるガスを使ってマイニングを行う
(フレアガスは毒性があり、大気中に直接放出されると温室効果ガスとしての影響が大きいため燃焼処理される) - 余剰再生可能エネルギーの活用
→供給量が不安定な再生可能エネルギーをマイニングに利用できるため、再生可能エネルギーの開発・拡大を促進する可能性がある
マイニングの技術革新が、環境問題の解決につながるかもしれないなんてびっくりだよ!
うーん、でも、マイニングに使う電力が、一般の人が暮らすための電力と競合しちゃって、人々の暮らしに影響が出るってことはないのかな?
そもそも余剰電力を使っているから、消費者の需要とは競合しないよ。
消費者がたくさん電気を利用する時間帯や地域では電気料金が高くなってしまって、マイニングコストが上がってしまうんだ。
関連記事:世界でのビットコイン活用方法!実用性のある13の活用事例を紹介
ビットコインがアルトコインよりも電力が高いのはなぜか
アルトコインがビットコインよりも電力消費量が小さいのは、仕組みが根本的に異なるからです。
ビットコインのPoWに対し、多くのアルトコインではPoSが採用されています。
PoWとPoSはそれぞれ一長一短のある仕組みであり、電力消費量だけを見て優劣をつけるのは好ましくありません。
メディアやSNSの発信で、PoWのデメリットについての説明をよく見かけるけど…
PoSにもデメリットがあるっていうのは、あまり説明されていない気がするよ。
「PoSは環境に配慮している新しい技術!」「PoWの課題を解決したのがPoS!」って紹介しているメディアが多いけど、PoWとPoSについては正しい情報がもう少し知られるべきだと思うんだ。
興味のある人は、プルーフオブワークに関する以下の記事を読んでみてね。
関連記事:プルーフオブワークとは?ビットコインのPoWとPoSの違いをわかりやすく解説
【まとめ】「ビットコインは電気代の無駄」説は時代遅れ!
ビットコインと電力・ポイントまとめ
- ビットコインのマイニングに電力が必要なのは事実だが、他の産業と比較してエネルギー消費量が特別多いという訳ではない
- 再生可能エネルギーへのシフトが進んでおり、CO2排出量は年々減少している
- 余剰電力を使ったマイニングや、小さな村に電力を供給する小規模発電&マイニングの組み合わせなど、世界で起きている様々な問題の解決につながる技術開発が進んでいる
ビットコインのマイニングは、再生可能エネルギーを活用した様々な取り組みが進んでいるんだね!
「ビットコインは環境に悪い」っていう意見を見たこともあるけど、それは過去のイメージが強すぎるんじゃないかなって思うし、将来的には「マイニングをしないことが電気の無駄遣い」っていう考え方が広がる可能性もある気がしたよ。
再生可能エネルギーを使ったマイニングは各国で注目されているし、日本でも東京電力パワーグリットが参入しているよ。
海外ではユースケースも増えているし、マイニングへのイメージが日本でも少しずつ変わっていくと良いね。
ビットコインって何だか難しそうだし、よく分からないから何となく不安だったけど、他にも色々知りたいなって思ったよ。
ビットコインについて、もっと知っとこ!
執筆者:Shigeru Minami
「知っとこ!ビットコイン図鑑」制作者。
ビットコイングッズのハンドメイド作家として活動中。